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著者

Jacob Hart

アブストラクト

この記事では、OpticsBuilder を使用してレンズ図面の作成を自動化するプロセスについて説明します。この図面を作成するには、SolidWorks でカスタム図面テンプレートを作成します。OpticsBuilder では、レンズ図面の作成ツールを使用して、円形レンズの ISO 10110 準拠自動化レンズ図面を作成できます。レンズ図面の作成ツールでは、ZBD ファイル形式でインポートしたカスタム プロパティを使用して、寸法データと材料データを入力したレンズの図面が生成されます。この図面ツールは、数値の書式設定、図とテーブルの配置、レンズの寸法表記、レンズ データの自動入力を扱うマクロを実行します。
 

本文


OpticsBuilder を使用して作成した SolidWorks アセンブリ ファイルには、機械部品と光学部品のデータが保存されています。OpticsBuilder では、レンズ図面の作成ツールを使用して、円形レンズの図面を作成できます。図面テンプレートは、レンズの形状とプロパティを図面上に配置して提示するフレームワークです。この記事では、手順を追った説明により、カスタム図面テンプレートにどのような情報が収録されるか、また OpticsBuilder でカスタム図面テンプレートを作成する方法を理解します。
 

OpticsBuilder の図面ツールの使用

図 1 は、[レンズ図面の生成] (Generate Lens Drawings) アイコンを赤色の枠で囲んで示しています。図 2 は、[レンズ図面の生成] (Generate Lens Drawings) ダイアログ ボックスを示しています。
 

Figure 1

図 1 :[レンズ図面の生成] (Generate Lens Drawings)

この図面ツールを使用するには、以下の手順に従います。

  1. OpticsBuilder に ZBD ファイルをインポートします。
  2. インポートしたレンズを SolidWorks のアセンブリに保存します。
  3. [レンズ図面の生成] (Generate Lens Drawings) をクリックします。
  4. 図面の生成対象とする光学部品を選択します (図 2 を参照)。
  5. 図面テンプレートを選択します (OpticsBuilder、SolidWorks、またはカスタム)。
  6. 緑色のチェック マークをクリックすると、図面ツールが起動します。

 

図 2 :[レンズ図面の生成] (Generate Lens Drawings) ツール
 

OpticsBuilderの図面テンプレート

図面ツールが起動すると、レンズの正面図と断面図が作成されます。レンズの厚みとフェイス直径の寸法が追加されます。図面ツールで OpticsBuilder テンプレートを選択した場合は、図 3 のような図面が表示されます。SolidWorks テンプレートの場合、レンズ データをテンプレートに取り込んで図面を生成することはできますが、光学系図面に合わせてテンプレートをカスタマイズすることはできません。
 

図 3 :OpticsBuilder の図面テンプレート
 

OpticsBuilder テンプレートを使用している場合、ZBD ファイルに以下のデータが収録されていれば、それらが自動的に図面上のテーブルに入力されます。

  • 凸面であるか凹面であるかを示す符号が付いた、レンズの曲率半径 (R)
  • 有効半径 (Øe)
  • レンズ材料 (Glass)
  • 屈折率 (不確実性あり、Nd)
  • アッベ数 (不確実性あり、Vd)
  • パワーのイレギュラリティ (3/)
  • ティルト (4/)
  • 面の不完全性に対する公差 (5/)
  • 基準波長 (6/)
  • 材料の不完全性 - 応力複屈折 (0/)
  • 材料の不完全性 - 気泡と不純物 (1/)
  • 材料の不完全性 - 不均質性と脈理 (2/)
  • レンズ名 (Part/DRAWING)
  • 図面シート縮尺 (SCALE)

 

ダブレット レンズと偶数次非球面レンズ

ダブレット レンズ アセンブリでは、個々のレンズと貼り合わせレンズ グループの図面が自動的に生成されます。非球面レンズ (偶数次非球面のみ) では、非球面係数とサグ表を表示した図面シートが追加されます。
 

カスタム図面テンプレートの作成

カスタム図面テンプレートを使用すると、具体的なニーズに合わせた専用の図面テンプレートを定義できます。テーブル、注釈、図を作成できるほか、レンズ形状と材料特性に関連する変数を追加できます。OpticsBuilder テンプレートと図面サイズまたは図面方向が異なるカスタム テンプレートは、空白のシートから作成する必要があります。

カスタム図面テンプレートを作成するには、まず SolidWorks で新規図面を作成する必要があります。図面を作成する前に、シートのサイズと方向を定義したシート フォーマットを選択するように SolidWorks から求められます。図 4 のように [シート フォーマットを表示] (Display sheet format) をチェックしていない場合は、シート フォーマットを選択すると空白の図面が作成されます。

 

図 4 :シート フォーマットのダイアログ
 

図面を作成した後、図 5 のように [シート フォーマット] (Sheet Format) タブで [シート フォーマット編集] (Edit Sheet Format) を選択します。これにより、図面境界線、テーブル、注釈を作成できます。
 

図面境界線の作成

図面境界線は、テーブルの形状を作成するための基準位置となります。図 5 では、[自動境界線] (Automatic Border) アイコンを赤枠で囲んで示しています。
 

図 5 :シート フォーマット編集
 

図面境界線を作成するには、以下の手順に従います。

  1. [自動境界線] (Automatic Border) を選択します。
  2. [自動境界線] (Automatic Border) ダイアログ ボックスで右矢印をクリックします。
  3. 図 6 に示すように図面の余白サイズを定義します。
  4. [ゾーン分割線表示] (Show zone dividers) のチェックをはずします。
  5. [列表示] (Show columns) のチェックをはずします。
  6. [行表示] (Show rows) のチェックをはずします。
  7. [自動境界線] (Automatic Border) ダイアログ ボックス上部にある緑色のチェック マークをクリックします。
  8. 境界線の 4 つの端点を選択し、図 7 に示すようにアンカー アイコンを使用して目的の位置に固定します。

 

     

図 6 および図 7 :自動境界線と境界線のアンカー固定
 

[レイヤー] (Layer) ツールバーと [線属性変更] (Line Format) ツールバー

以降の図面作成作業を進める前に、[コマンド] (Command) ツールバーを右クリックし、[レイヤー] (Layer)[線属性変更] (Line Format) の両方を選択して、[レイヤー] (Layer) ツールバーと [線属性変更] (Line Format) ツールバーを開いておく必要があります。図 8 では、[レイヤー] (Layer) アイコンと [線属性変更] (Line Format) アイコンを赤枠で囲んで示しています。
 

図 8 :コマンド マネージャ、[レイヤー] (Layer) ツールバー、[線属性変更] (Line Format) ツールバー

[レイヤー] (Layer) ツールバーと [線属性変更] (Line Format) ツールバーは、作業で都合の良い場所に固定できます。図 9 に示す [レイヤー プロパティ] (Layer Properties) を選択して、最終的な図面テンプレートでは非表示にするオブジェクトをまとめる新規レイヤーを作成します。このようなオブジェクトとして、テーブルの寸法や非表示の注釈などがあります。図 10 のようにレイヤーのプリンタ アイコンを非表示にすることで、印刷の際にレイヤーを非表示にすることもできます。

      

図 9 および図 10 :[レイヤー] (Layer) ツールバー、[線属性変更] (Line Format) ツールバー、[レイヤー プロパティ] (Layer Properties) ダイアログ
 

テーブルの作成

ツールバーを固定した後、図面テンプレートのテーブルを作成します。テーブルの作成に着手するには、まず [スケッチ] (Sketch) タブを選択します。[スケッチ] (Sketch) タブでは、線ツールとボックス ツールを使用してテーブルを作成できます。線ツールとボックス ツールで作成した線は、シートの任意の位置に描画できます。図面境界線上または他の線上で開始または終了した線は、その重複する線と同じ位置に自動的に制約されます。図 11 に、水平線 (テーブルの上から 2 番目の線) に対して適用された制約の例を示します。
 

図 11 :線の制約

デフォルトでは、既存の線 (境界線も含みます) の近くにマウス カーソルを置くと、その線の中心に、描画している線がスナップされます。SolidWorks では、線を作成すると、その線に対して適切な水平方向の制約と垂直方向の制約が自動的に適用されます。既存のオブジェクトの水平方向位置と垂直方向位置にオブジェクトが自動的にスナップされるので、注釈とテーブルの線を多数設定した図面では、新たなオブジェクトの配置が困難な場合があります。既存オブジェクトの位置に基づいて水平方向と垂直方向の位置調整キューにスナップする機能を解除しておくには、Alt キーを押しながら線や注釈を配置します。

 

テーブルの寸法の追加

図面テンプレートを設定すると、必要に応じてテーブルの寸法を追加し、テーブルのフォーマットを設定できます。図 12 に寸法のアイコンと注釈のアイコンを示します。
 

図 12 :寸法のアイコンと注釈のアイコン

寸法は、図面テンプレートを保存する前に非表示にできるように、寸法専用のレイヤーに配置する必要があります。図 13 は、寸法を A (ANSI) サイズで横方向とした OpticsBuilder テンプレート テーブルの横方向形式を示しています。
 

図 13 :テーブルの寸法
 

注釈とカスタム プロパティの描画

図面テンプレート作成で次に実施する手順は、図 13 に示すテーブルへの注釈の入力です。注釈には、テキスト、自動入力レンズ データ、テキストとデータの混在などを記述できます。自動入力のレンズ データを記述した注釈は、レンズに関連付けたカスタム プロパティにリンクされます。このようなプロパティとして、曲率半径や材料などがあります。SolidWorks に ZBD ファイルをインポートすると、カスタム プロパティが各レンズに割り当てられます。

カスタム プロパティを表示するには [ファイル] (File) → [プロパティ] (Properties) → [カスタム] (Custom) に移動します。レンズに使用できるカスタム プロパティの一覧を図 14 に示します。
 

図 14 :カスタム プロパティの一覧

 

最初から新規作成したカスタム図面テンプレートにはカスタム プロパティが定義されていません。OpticsBuilder テンプレートまたは SolidWorks テンプレートを使用して生成した図面からカスタム プロパティをコピーする必要があります。OpticsBuilder 図面テンプレートからカスタム図面テンプレートにカスタム プロパティを取り込むには、以下の手順に従います。

  1. OpticsBuilder テンプレートで作成したレンズ図面でカスタム プロパティの一覧を開きます。
  2. カスタム プロパティの一覧で、取り込むカスタム プロパティの行をハイライトし、Ctrl キーを押しながら C キーを押します。
  3. カスタム図面テンプレートのカスタム プロパティを開きます。
  4. カスタム図面テンプレートのカスタム プロパティ一覧で、既存の任意の行をハイライトします (複数選択可)。
  5. Ctrl キーを押しながら V キーを押します。

ここまでの手順を完了すると、OpticsBuilder 図面テンプレートまたは SolidWorks 図面テンプレートからコピーしたすべてのカスタム プロパティが、カスタム図面テンプレートに設定されます。

カスタム プロパティを記述した注釈を追加するには、任意の注釈を追加して [プロパティへリンク] (Link to property) (図 15 でハイライト) を選択します。図 16 のダイアログが表示され、枠で囲んだドロップダウン メニューから、注釈に入力するカスタム プロパティの名前を選択できます。

 

  

図 15 および図 16 :[注釈] (Note) ダイアログ ボックスと [プロパティへリンク] (Link to property) ダイアログ ボックス
 

テキストとカスタム プロパティを組み合わせて 1 つの注釈に記述できます。カスタム プロパティ、テキスト、他のカスタム プロパティの名前の順に注釈に追加します。この方法は、公差を記述したデータ フィールドを作成する場合に便利です。

図面作成で役に立つように、OpticsBuilder 図面テンプレートで使用しているカスタム プロパティの名前が、図 17 のように青色で表示されます。
 

図 17 :OpticsBuilder 図面テンプレートのカスタム プロパティ名
 

非球面

非球面レンズは、図面ツールの特殊な使用事例です。偶数次非球面のみが使用できます。偶数次非球面で図面を作成した場合、OpticsBuilder テンプレートでは、最初のシート上部にサグ方程式が記述され、非球面の両フェイスの非球面係数とサグ表を記述したシートが 2 つ追加されます。複数のシートで構成した、偶数次非球面レンズの図面を図 18 に示します。
 

図 18 :偶数次非球面形式の OpticsBuilder テンプレート
 

カスタム図面テンプレートに非球面向けの付加シートを作成するには、以下の手順に従います。

  1. [挿入] (Insert) → [シート] (Sheet) を使用して付加シートを追加します ([シート フォーマットを表示] (Display sheet format) のチェックははずします)。
  2. [挿入] (Insert) → [テーブル] (Tables) → [カスタム テーブル] (General Table) を使用してテーブルを追加します。
  3. このテーブルに非球面係数の各ラベルを入力します。
  4. テーブルのセルをダブル クリックして [プロパティへリンク] (Link to property) を選択することで、非球面係数 (0_ORDERTERM_L) のカスタム プロパティをテーブルに入力します。
  5. 別の付加シートを追加するには、[挿入] (Insert) → [シート] (Sheet) を使用します ([シート フォーマットを表示] (Display sheet format) のチェックははずします)。
  6. 別のテーブルを追加するには、[挿入] (Insert) → [テーブル] (Tables) → [カスタム テーブル] (General Table) を使用します。
  7. 2 番目のテーブルのセルをダブル クリックして [プロパティへリンク] (Link to property) を選択することで、サグ (0_SAG_VALUE_L) のカスタム プロパティをテーブルに入力します。

複数のシートで構成する図面では、必要に応じてシートごとに異なるフォーマットを使用できます。新たに追加したシートのフォーマットを編集するには、[シートフォーマット編集] (Edit Sheet Format) を選択し、編集するシートを右クリックします。
目的のシートを右クリックした後、[編集] (Edit) → [プロパティ] (Properties) に移動します。新たなシート サイズやシート方向を選択できるほか、[シート フォーマットを表示] (Display sheet format) のチェックをはずすことで、空白のシートを作成することもできます。[シート プロパティ] (Sheet Properties) ダイアログ ボックスについては図 4 を参照してください。
 

図面テンプレートの保存

テーブル、注釈、カスタム プロパティを設定した図面テンプレートを作成した後、以下の手順に従う必要があります。

  1. [シート フォーマット] (Sheet Format) タブを選択します。
  2. [シート フォーマット編集] (Edit Sheet Format) のチェックをはずします。
  3. [ファイル] (File) → [シート フォーマットの保存] (Save Sheet Format) (*.slddrt フォーマット) を使用してシート フォーマットを保存します。
  4. [ファイル] (File) → [指定保存] (Save As) を使用して図面テンプレートを保存します。

シート フォーマットには、図面の方向、サイズ、および境界線が保存されています。図面テンプレートには、シートで使用されているすべてのテーブル、図、および注釈が保存されています。図面テンプレートでは、その保存の際にシート フォーマットが参照されます。

レンズ図面作成の自動化は、光学機械設計プロセスを OpticsBuilder で合理化する手段のひとつです。図面作成を自動化するフレームワークは、カスタム図面テンプレートの適切な作成から始まります。この記事では、OpticsBuilder を使用したワークフローにレンズ図面の生成ツールを組み込むことができるように、カスタム図面テンプレート作成の基本を取り上げました。